今年は、去年から問題になっていた東京大学分子細胞生物学研究所のW教授の研究不正についての公式の見解が発表されました。また、年末になって、名古屋大学からの「ディオバン論文」の問題が、再調査の結果、論文撤回勧告という報道を見かけました。これらの問題については、大きな報道もされていましたので、今更という感じがします。

今回、私が敢えて考えてみたいのは、これらの不正や撤回勧告そのものとは別の問題です。その前に、この2つの問題について、思い返していただきたいと思います。

東大分生研のW教授の問題については、W教授が日本のスター研究者であり、朝日賞、上原賞、武田医学賞などの大きな賞を、総なめにして受賞されていたということで、ショックを受けた研究者が多かったと思います。そのうちの朝日賞の説明です。

分子生物学者  山本正幸さん Wさん 減数分裂の仕組み、明らかに
http://www.asahi.com/shimbun/award/asahi/2015prizewinner.html
「このころの山本研究室に、Wさんもいた。その後、自らの研究室を立ち上げたWさんは、染色体が均等に分かれる仕組みに着目し、大切な役割を果たすたんぱく質を見つけ、「シュゴシン」と名付けた。 」

一方、名古屋大学の問題は、経緯がここに書かれています。2014年に公表した「最終報告」の後、宇宙物理学者の先生を中心とする公正研究委員会の再調査の結果、そういう結論になったということでした。

名古屋大、ディオバン論文に撤回勧告、2014年の「最終報告」から一転  学外からの指摘で再調査、疑惑症例除外で「有意差が出なかった」
https://www.m3.com/news/iryoishin/570754
(2017年11月23日 (木) m3.com編集部)
「 名古屋大は2014年12月に公表した最終報告で「データの恣意的操作はなかった」「(論文の)主要な結果は信頼できる」と判断。イベントの定義と白橋氏の肩書についてのみ修正を勧告していた(『名大「データの恣意操作なし」と最終報告』を参照)。
しかし、2016年6月に、学外から「NHSに関する論文が、名大公正研究委員会の勧告に従った修正がなされていない」との指摘が寄せられた。これを受け、同年7月に大学は公正研究委員会による調査を開始した。特に問題となったのは、「心不全による入院」と判定された症例について。さらに9月には学外から別途「修正論文では4例とも入院拒否と記載されているが、このうち拒否されたのは2例だけではないか」との指摘があった。」

W教授の先生であった山本正幸さんは、基礎生物学研究所の所長となられ現在にいたっています。W教授と朝日賞を共同受賞されたのは、所長となられた後でしょうか。
http://www.nibb.ac.jp/about/message.html

一方の名古屋大学。2014年12月に今回翻ることとなる「最終報告」がなされたのでした。当時の名古屋大学の総長は、医学部長(2005-2009)から総長(2009-2015)になられた濱口道成さんでした。濱口道成さんは、2015年からJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の理事長となられ、現在にいたっています。

つまり、山本正幸さんも濱口道成さんも、日本の科学技術関係のリーダーとしてはトップに立っておられる方々です。

リーダーとして自らも直接関係あるこれらの問題について、自ら何かコメントを出していただきたい、と思うのは、私だけでしょうか。黙っていれば、任期がまっとうできるとお考えなのでしょうか?

日本国内のバイオ系研究者のリーダーの劣化の一例として、皆様にも考えて欲しいと思います。私は、このような劣化したリーダーたちとその取り巻きに自分の研究者としての運命が決められ、私の研究者人生を潰されてしまった、そして2度と研究者人生をやり返すことができないことに納得がいきません。

================================================
大隅さん研究、酵母表現 岡崎・基生研ノーベル賞記念碑
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20171028/CK2017102802000050.html (リンク切れ)
http://tiantiansu.exblog.jp/26138855/