バイオ系では、新しく発表された論文を気にするというのは、多くの研究者がそうであると思うのです。それは、大学などの学術機関に所属する研究者もそうでしょうし、民間企業の研究者もそうでしょう。具体的には、どうやるか、というと、こういったところでしょうか。

それぞれのジャーナルを見る。それぞれのジャーナルのアラートe-mailを購読する。Online(Advanced publication)の発表を見るというのも、最近は普通でしょう。
PubMedを時々自分で検索するか、PubMedのアラートシステムを使って、そういう情報を得る。
他人からそういう論文が発表されたことを聞く。
Twitterで追いかける。
一般新聞、研究機関、科学関係のメディアで報道された論文を見る(研究者にはあまり推奨されない方法でしょうが)。

ところが、最近、従来のPubMedでは入手できない新しい論文発表の情報がでてきています。それが、プレプリントサーバに発表された論文です。

プレプリントサーバって何?
最近、米国を中心に、バイオ系でも、物理学分野などでしばしば利用されている「プレプリントサーバ」を利用した研究発表を始めようという議論が盛んになっています。これは、今盛んに推進されているオープンサイエンスの一つであると思うのですが、実際にバイオ系でそれなりの重要な論文がプレプリントサーバに置かれるという形で発表されるようになり、無視できない存在になってきているという現実があります。例えば、最近、科学ニュースサイトで、プレプリントサーバで発表された論文を紹介するというようなケースが増えてきています。

プレプリントサーバとは:Wikipediaより引用。
「プレプリントサーバ(英: pre-print server)は、査読つき学術雑誌に掲載される予定になっている論文原稿を、原稿が完成した時点で一足早く公開する際に使用されるサーバ。学術雑誌における査読と出版には数ヶ月から一年以上もの時間がかかることから、よりスピーディーな情報交換を求めて、インターネットの普及とともに科学分野の研究者を中心にその利用が広まった。」

生命科学分野は「プレプリント」を導入すべき?
https://www.enago.jp/academy/preprint/

バイオ系でもプレプリントサーバの利用を促進しようと議論しているASAPbioというサイト。プレプリントに関する疑問点(例、発表の先取権)や問題点など様々な議論に詳しい。
http://asapbio.org/preprint-info

プレプリントサーバ利用推進の立場から活動を続けているハーバード大学ポスドクのJessica PolkaさんのTwitter。最新の議論を紹介してくれています。
https://twitter.com/jessicapolka

プレプリントサーバについてCell誌の編集長Emilie Marcusさんの議論。従来型の有力誌編集長という保守的な立場からの議論。
Let's talk about preprint servers
http://crosstalk.cell.com/blog/lets-talk-about-preprint-servers

9/5/2016追記。
What we're hearing from the community about preprints
http://crosstalk.cell.com/blog/what-were-hearing-from-the-community-about-preprints
Cell誌も、プレプリントサーバを利用した論文を認めるという方針を決めたようです。


プレプリントサーバをめぐる議論というのは、上に紹介したサイトに書かれていますので、今回は説明を省きます。ただ、現実に、米国NIHがそのグラント申請などにおいて、プレプリントサーバの論文(つまり査読前の論文)をその研究者の経歴書に記載することを許可するといった政府関係の動きもある。そして、eLifeなどの雑誌が、プレプリントサーバの利用を積極的に勧めるという現状があることは見逃せない動きであると思います。

9/5/2016追記。
ここにどの雑誌がプレプリントを認めるか、というリストがあります。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_academic_journals_by_preprint_policy


プレプリントサーバで発表された新着論文情報を得る
そこで、今回は、プレプリントサーバで発表された新着論文の情報をどうやって得るのか、というのをまとめてみました。

米国細胞生物学会ASCBのサイトで、プレプリントサーバの情報をどう得るのか、というので、いくつかの方法を紹介しています。
http://www.ascb.org/fresh-research-delivered-set-preprint-alerts/

Google Scholarを利用するという方法のほかに、こんなサイトがあるということを紹介しています。
PrePubmed
http://www.prepubmed.org/

search.bioPreprint
http://www.hsls.pitt.edu/resources/preprint

また、現在、最も有力なバイオ系のプレプリントサーバの一つであるコールドスプリングハーバーラボのbioRxivのアラートシステムというのもあります。
http://biorxiv.org/content/alertsrss

実際にASCBで紹介されているサイトを試してみたのですが、なかなかうまくいかないようですが。。一方、bioRxivのアラートシステムというのは、良好に稼働しているようです。

もしかしたら、日本国内の保守的なバイオ系の教授や政策策定に関わる官僚の方の多くは、プレプリントサーバって何?という世界かもしれません。是非、こういう情報も使いこなせるようになって欲しいものです。

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